量子力学の解釈と「超原理論」(28)ー2

(3)「標準理論」から「ひも理論」へ、そして「超弦理論」


 量子力学は、身の回りの技術発展だけでなく、宇宙の解明に大きく貢献しましたが、問題も残っています。
それは重力と量子(素粒子)との関係です。仮説の素粒子である重力子が考え出されましたが、素粒子の「標準理論」に組み込もうとすると数学的に破綻します。もし、重力を「標準理論」に組み込むことができたなら、「万物の理論」が完成するのです. 


   


 宇宙の最小単位を「標準理論」では点としたのに対し、「ひも理論」では、最小単位をひもの振動で記述しました。一般相対性理論と素粒子の「標準理論」を統合するために、「ひも理論」が登場したのです。ひもを両端がつながった輪ゴムのようにすることで、ビッグバンやブラックホールなど究極の領域が計算可能になりました。「ひも理論」の誕生は、「この世のすべてを示す万物の理論だ」と宇宙のすべてを計算できると世界中で脚光を浴びました。
 しかし、問題が浮上します。それは、「ひも理論」に必要な条件は、宇宙が10次元であるということが前提になります。私たちの宇宙は4次元(縦・横・高さ・時間)で構成されています。世界中の天才たちが、余分な6次元を取り除くことに全力を注ぎましたが成功しませんでした。実験でも検証不能と結論付けられ、現状、「ひも理論」は正しいのか正しくないのか不明な状態です。「ひも理論」は、現在の宇宙を説明できないですが、数学上は破綻せず、正しい解答を導くことができます。
 数学者や物理学者を惹きつける理由がここにあります。人類の目標は、宇宙のすべてを理解する究極の理論、万物の理論の完成です。現在、「ひも理論」に超対称性を組み込んだ「超弦理論」が研究されています。


     


『9次元からきた男』という作品は、重力を使って宇宙を理解しようとしているマクロな世界の法則と、素粒子のようにミクロな世界の法則とを結びつける、究極の統一理論がどういうものであるか、それを追いかけつづけている科学者たちの姿を映像として表現したものです。(日本科学未来館)

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