不確定性原理と「ゆらぎ」(10)

(5)「不確定性原理」とは


 量子は、既に述べたように「粒子」と「波動」の2重の性質を持ちます。量子は、「位置」を正確に測ろうとするとその「速度」が正確に測れなくなり、「速度」を正確に測ろうとするとその「位置」が正確に測れなくなります。
つまり量子の世界は常に「ゆらぎ」に支配されていて、私たち人間が『量子はここにあってこの速さで動いている』ということすら決めることができません。この量子の「位置」と「速度」を「確率的な波の広がり」として表す理論を「不確定性原理」といい、波動関数で表します。観測することもできず、再現性も無い量子を扱う「量子力学」は、それまでの実験物理学では到底説明のつかない理論物理学の世界です。


理論物理学とは、
・理論的な模型や理論的仮定(主に数学的な仮定)を基に理論を構築する物理学。
・既知の実験事実(観測や観察の結果)や、自然現象などを説明する物理学。
・未知の現象に対しても予想する物理理論を扱う分野の物理学。
・理論物理学は、実験物理学と対比して使われる言葉です。


(6)「量子ゆらぎ」と「真空のゆらぎ」


①「量子ゆらぎ」
 位置や運動量のように、実験によって観測可能な量を物理量と言います。 量子状態の物理量を観測したとき、全く同じ条件で、全く誤差のない計測を行ったとしても、一般にはその観測値はばらつきます。この不確定性を「量子ゆらぎ」と言います。


②「真空のゆらぎ」
 宇宙は「真空のゆらぎ」から生まれ、宇宙創成時に光子がゆらゆらゆらゆら揺らいで、生成したり消滅したりしているという理論です。エネルギー保存の法則が適用されず、観測することもできない真空の無限エネルギーを想定する机上の理論です。本当にそうなっているのか物理学者にも確認もできないことです。量子力学の世界は、通常の物理学では不可能なことが可能になる世界です。カシミール効果や量子コヒーレンス、トンネル効果なども一例です。
*カシミール効果は、真空中で二枚の金属板がとても近くにあると、互いに引き合う力が働く現象です 。
  この力は、金属板の間の真空のエネルギーが変化することによって生まれると考えられています。


         

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