⑳「神社本庁」と「統一教会」

もはや「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者激怒」が相次いで勃発 「週刊現代」2024年4月6・13日合併号より

鶴岡八幡宮、離反の衝撃
全国約8万の神社、約2万人の神職を傘下に治める「神社本庁」が揺れている。
3月5日、「日本三大八幡宮」の一つ、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮が神社本庁からの離脱を突然表明した。鶴岡八幡宮は源頼朝が1180年に遷座した神社で、鎌倉を代表する観光スポットだ。

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が放送された'22年には約586万人もの観光客が訪れた巨大神社である。その鶴岡八幡宮が神社本庁離脱に動いたとあって、神道関係者に衝撃が走った。
三大八幡宮の一つが、なぜ本庁離脱へと踏み切ったのか。混乱のきっかけはいくつかあるが、大きな原因は、'10年から神社本庁の事務方トップを務める田中恆清総長と、その盟友である神道政治連盟の打田文博会長による「不正土地取引」の問題だと見られる。ジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。


「事の発端は、'15年10月に田中氏の了解のもと、神奈川県川崎市にある神社本庁の職員寮『百合丘職舎』を1億8400万円という、不当に安い金額で売却したことです。本来なら3億円は下らないと見られるこの職舎を安値で購入したのは、打田と懇意にしている不動産会社。同社は翌月に物件を転売し、3000万円近い利益を得ている。打田らはこの不動産会社と癒着していた可能性が指摘されているのです」
相場よりも極端に安い価格で売却していたことが神社本庁内の一部で問題視され、'16年には同庁の職員が内部告発し、表沙汰に。結局、告発者が懲戒解雇となり、裁判にまでもつれこんだ。伊藤氏が続ける。
「3年以上続いた裁判は、'21年3月に判決が下り『売却価格は相当低かった。田中氏や打田氏が背任を行ったと信じる相当の理由があった』と、裁判所が告発者の主張が正しいことを認めました」
 神社本庁トップによる背任行為が疑われた以上、本来であれば調査のうえで、辞任や降格などの措置が取られるべきだ。ところが、田中氏は総長職を続投。何事もなかったかのようにトップの座に居座り続けているのだ。
こうした独裁的な体質に嫌気がさした鶴岡八幡宮が、神社本庁から脱退を表明したというわけだ。
しかし、なぜ周囲の強烈な反発を招いてもなお田中氏は総長の座を死守するのか。そこには、神社界ならではの特殊な事情が透けて見える。まずは日本人が知っているようで知らない神社の仕組みを見ていこう。


神道体制の起源
そもそも神社が今のような神社本庁を中心とする運営体制になった大元は明治時代に遡る。宗教学者の島田裕巳氏が解説する。
「当時は、神社が国家の宗祀と位置付けられ、神社に特権が与えられていました。国の機関である神祇院が神社を管轄、宮司などの神職は公務員として扱われ、国が給料を出していたのです。
しかし戦後、GHQによって国家と神道の結びつきを断ち切ることを目的とした『神道指令』が出されます。これによって、神道は国家から切り離され、数多くある宗教の一つという扱いになりました」


 そこで国家神道とは別の形で神道文化を維持するために立ち上がったのが神社本庁だ。
「このとき、伊勢神宮を本宗(全国の神社の総親神)として頂点に位置付ける現在の神道体制ができあがりました」(島田氏)
 神祇院の頃は、税金で組織を維持していたが、神社本庁となってからは国からの支援は受けられない。そのため、神社本庁は、組織維持のために収入を得る必要に迫られた。そこでつくられたのが、伊勢神宮のお札「神宮大麻」だ。
「神社本庁傘下の神社には『天照皇大神宮』と記された神宮大麻が頒布されます。各神社はこれを氏子に売り、代金を神社本庁に上納する仕組みです」(同)


宮司では食べていけない
神社本庁が神宮大麻から得られる収入は、10億円近いとされており、神社本庁の資金の源となっている。神社本庁の収入はそれだけではなく、「神職賦課金」という会費を全国の神社から徴収している。その額は在籍している神職の数や階級によって異なってくるが、一人あたり数万円になる。
 こうした会費を支払わなければならない「宮司」たちの懐事情は、意外にも厳しい。埼玉県の古尾谷八幡神社の宮司を務める新井俊邦氏は「宮司だけの収入ではとても暮らせません」と語る。
「私は主に奉仕する神社1社に加えて、13社の宮司を兼務しています。私のように10社以上の宮司を兼務している人は決して珍しくなく、日本中にそうした宮司がいます。
 14社も兼務していると、収入もそれなりと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。神職としての収入はすべて宗教法人の口座に入金され、そこから給与として報酬を得ていますが、その金額は年間約140万円にしかなりません。宮司だけでは食べていけず、中小企業診断士の資格を取り、コンサルタントの仕事もしています」


 地方の神社だけでなく、都市部の神社であっても、「神社の経営は非常に難しい状況に置かれている」と島田氏は言う。
「宗教活動だけで経営が成り立っている神社は数えるほどしかありません。大きな神社ではお賽銭だけでかなりの収入になるところもありますが、そんな神社は稀。お賽銭やご祈祷、お札やお守りの販売といった『社頭収入』だけで神社を維持し続けるのは難しい。大きな神社では、持っている土地を貸したりして収入を得られますが、小さな神社ではそれもできない。


 たとえば明治神宮は、コロナの影響で参拝者数が激減。外苑の維持管理費もかさみ、実は経営難に陥りかけている。神宮外苑いちょう並木の問題は、そうした明治神宮が抱える金銭的な問題も背景にあるわけです」
後編記事『ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」』ヘ続く。

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