(55)教会分裂は、キリスト教歴史の再現で解決(^^)

hirachyuu

日本とユダヤの古代史&世界史 縄文・神話から続く日本建国の真実
著者
【Tさん】 東北大学名誉教授  田中英道先生
【Mさん】 Sランク予備校講師 茂木誠先生


第3章のキリスト教は、マリア信仰を取り入れヨーロッパに広まった」からです。
歴史の面白さに気づける推薦図書です。


          


【Mさん】
 ユダヤ教が「ヤハウェイ」という姿の見えない存在を神として祀るのに対し、キリスト教はイエスという生存の男を神として祀ります。これは決定的な違いですね。そしてこのことが、キリスト教の中での派閥抗争を生み出すのです。  
 細かく言えば色々あるのですが、大きく捉えると、原始キリスト教は二つの派閥に分かれます。それは、≪イエスの母マリアを祀るか祀らないか≫と言うことです。


【Tさん】
 これは「イエスが神なのか?」というキリスト教の根本教義に係わる問題なのです。イエスが天から降りてきて布教し、また天に戻ったというのなら、イエスは間違いなく神でしょう。ところが福音書には、「マリアがイエスを生んだ」と書いてある。「人の女が神を生んだ」とはどういうことだ?となりますね。
だからイエスは神じゃない。人を神と祀るとは何事だ、とユダヤ教徒は非難したのです。


【Mさん】
 これに対する反論として、「人間マリアは、人間イエスを生んだ。しかる後に神がイエスに降臨した。だからイエスは神として祀るべきだが、マリアは人間だから祀るべからず」と考えたのが神学者ネストリウスで、彼の支持者がネストリウス派です。
 一方「神がマリアの腹に宿り、イエスとして生まれたのだ、イエスは胎児のときから神であり、神を生んだマリアは、『神の母』として祀られるべきだ」と考えたのが、神学者アタナシウスで、彼の支持者がアタナシウス派です。
 この「宿る」と言うのはどういう事かと申しますと、神(ヤハウエイ)が「聖霊」という形になってマリアの腹に入った、と考えます。だから「父(神)と子(イエス)と聖霊の名においてアーメン」とお祈りするのです。それが「三位一体」です。


【Tさん】
 のちのカソリックもプロテスタントもロシア正教会、根っこはこのアタナシウス派ですね。


【Mさん】
 既にローマ帝国はキリスト教を公認(325年)して、むしろ帝国の支えにしようと考えていました。だからキリスト教の派閥抗争は政治的にも困るのです。
そこで、皇帝の斡旋で、キリスト教の教義を統一する会議が何度か開かれました。これを「公会議」と申します。
 「エフェソス公会議」(431年)では多数決の結果、アタナシウス派のマリア崇拝が公認されました。これに反発するネストリウス派は「異端」とされ、ローマ帝国内での布教が禁じられた結果、東方の国々へ散っていきました。


【Tさん】
 結局ヨーロッパにおいては、アタナシウス派がカソリックとなり、主にゲルマン民族の間で広まっていくわけです。ネストリウス派はローマから追い出されてペルシアなど東方へ行き、自らの教義を独自に広めようとしました。唐や飛鳥時代の日本にはこのネストリウス派がやってきました。それは、ザビエルが来日する1000年前の話です。


【Mさん】
 ヨーロッパで三位一体説が勝ち残ったポイントは何だったのでしょうか。


【Tさん】
 「マリア信仰」が一番の鍵でしょうね。しかし、「マリア信仰」については聖書にほとんど書かれていません。イエスのお母さんと言うのは実はハッキリしていないのですね。
 イエスは母を捨て家族を捨て、常に個人で活躍するという格好になるわけですが、やはり人間はどうしても母親と言うものが必要になる時が有ります。母親は人間にとって一番重要な家族と言う共同体をつくる原点です。そこでかカソリックは布教のためにマリア信仰を重要視しました。それこそが、カソリックが成功した要因です。
 ゲルマン民族のような、元来狩猟民族で粗野な土地に生きている人たちには、このマリア信仰によって初めて文化が与えられたわけです。


 文化とは何かというと、愛情や家庭といったものを基本とした、ある種の文学性のようなものです。そういう常に個々の人々の心に残る基本となるものがあってこそ、それが文化をつくる一つの核になるわけです。
 マリア信仰によって、キリスト教は文化をつくることができるようになったと言えるでしょう。「ノートルダム」とは「私たちの貴婦人」というマリアを指している意味のフランス語です。

 あるいは直接的に表現した「サンタマリア(聖なるマリア)」などをはじめ、教会にマリアの名前を付けることによって、人々は信仰心を篤くし、親しみを感じて集まってくるわけです。


【Mさん】
 世界の古い宗教には必ず大地の女神、豊穣の女性を祭る共通点があります。日本では縄文のビーナス以来の地母神信仰があり、仏教が入ってくると観音様への信仰が有り、キリスト教は「マリア信仰」と言う形でそれをうまく取り入れた、ということもありそうですね。


【Tさん】
そうでしょうね。マリアを神とし、そして、宗教画でマリアが描かれることによって人々は魅了され、キリスト教は広まっていくわけです。

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